MC(メッシュカット)工法のはじまり!

今回は、サラリーマンをやめ、水処理のエンジニアである私が産業廃棄物の中間処理会社に就職、そして、代表者となり感じたことやMC工法のはじまりについて書きたいと思います。

「目の当たりにした現状」 

㈱九電工で水処理のエンジニアをしていた私は平成十三年に「管理職ではなくエンジニアとして働きたい」という思いと経営者への憧れから退職。大分にある妻の実家のヘドロ系の産業廃棄物処理業者で勤めることになりました。

 そこで目の当たりにした現状は非常に違和感を感じるものでした。

小規模事業場や小規模建設現場での産業廃棄物の中間処理は運送屋さんのようにお客さんに言われた場所に行き、知り合いの処分場まで持っていくという輸送コストだけで利益を得るやり方でヘドロが濃かろうが薄かろうが処分先に持っていく金額は一緒です。ヘドロを固めて三分の一にすればコストも三分の一になるのですが、現場で簡単な装置で減量するという発想がなかったのです。

 そういったことを「なぜしていないのか」とすぐに疑問に思い社長である義父に尋ねましたが「いろいろやったけれど、上手くいかなかった」という答えが返ってくるだけでした。どんなことをしたか聞いてみれば、たいしたことはやっていません。義父は二代目社長としてレールに乗った経営をしているという感じで「こういうものだ」という固定観念があったようです。

 エンジニアである私は「もっと効率化を進めないのか、コストカットできる所があるのになぜ改善しないのか」と感じていました。後に私が社長となり代替わりしてすぐに古紙をリサイクルする会社の社長さんと面談する機会があったのですが、その体質はヘドロ系の産業廃棄物処理業界全体のものであるという趣旨のことを言われました。私がこれまでと違ったタイプのヘドロ系の処理業者であることで話して下さったのだと思います。

「MC工法のはじまり」

 ある時、MC工法のヒントとなる溶けやすく反応が速い粉の凝集剤を見付けた私は、水処理のエンジニアをしていたことから「水もの」のゴミを処分する基礎知識があったので、これを使ってシステムを組めると思い、あるメーカーの凝集剤を混ぜる装置を見に行きました。それは凝集剤を混ぜてヘドロを濃縮するだけの装置でしたので、絞る部分までやらなければお客さんは買わないだろうと感じました。

 そして、油圧や遠心分離など複雑な装置を使わずに脱水できる道具をつくる決意をしたのです。それが汚泥の脱水処理から輸送までの業務をワンストップで完結させるMC工法開発のはじまりでした。

 実験を繰り返しながら脱水の方法を考えていた時に醸造プラントの技術者である実父にビーカーでの実験映像を見せて意見を求めたところ「醤油の醸造と同じようにろ過袋にいれて絞ればいい」とアドバイスをもらいました。その発想をもとに素材や形状を考えて試行錯誤していた時、輸送用のフレキシブルコンテナバッグで脱水しているのを見ました。これは面白いと思い、日豊製袋工業㈱というフレキシブルコンテナバッグをつくっている会社を尋ねたのです。その時に対応してくれたのが当時工場長で現社長の友松三樹男さんでした。

以上

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